週刊本吉研究室⑩8月30日号『手話での初めてのコミュニケーション』
2.そこで感じた3つのこと
私がボランティアに参加して感じたことが3つあります。
1つ目は、手話を「読む」練習が必要ということです。
私は、指文字を覚えていましたが、読み取ることがとても難しかったです。当たり前なのですが、自分でしているときの手話や指文字の見え方と、相手の手話や指文字を読むときの見え方は違います。向きが反対になることで、読み取ることが難しかったです。
また、手話や指文字でコミュニケーションをとる時、一つ一つがとても速かったです。全体に向けて説明を行うときは、ゆっくりだったので読み取れましたが、実際の会話で使う速度は速いので、「今のどんな意味だろう」と悩むと次の手話が読み取れず、なかなか理解できないことがありました。
手話を覚えることと同じくらい、読む練習をすることがコミュニケーションをするためには大切だと知りました。
2つ目は、伝える手段はたくさんあるということです。
私は手話ができなかったので、表情やジェスチャーで積極的にコミュニケーションをとりました。私が想像していた以上に、伝わっていたし、相手の言いたいことも読み取れたと感じています。伝わらないときに、どうしたら伝わるのか、より伝わる方法や表現はないかを考えるようにしたいと感じました。
3つ目は、言語学習において、伝わったという喜びや達成感を感じることが学習意欲につながることです。
今回のボランティアで初めて指文字が伝わったとき、私は大きな喜びと感動を感じました。新しい言語を学び、コミュニケーションがとれるようになるってこういうことなんだなという経験を初めてしました。
今までに、学校の授業で英語や韓国語を習い、会話をしたことがありましたが、そのように感じたことはありませんでした。これまでの言語学習を振り返ってみると、文章の型があり、一部分だけ変更して話すことがほとんどだったように感じます。しかし今回は、そのような型がなく、自分で話す内容を考え、伝わる表現を考えました。自分でコミュニケーション方法を考えたからこそ、伝わったときにより喜びを感じました。
また、学校の授業では必ず困った時に尋ねたら教えてくれる先生や友人がいましたが、今回のボランティアでは自力でコミュニケーションを取る必要がありました。そのような環境で相手に伝わったからこそ、大きな喜びが得られて、もっと勉強してもっと伝えられるようになりたいと感じたのだと思います。
最後に
これらの「感じたこと」は、小学校の教員として働く時の外国語の授業づくりにも生かすことができるのではないかと考えます。
相手の伝えたいことを受け取る力をつけることの大切さや、伝える手段の豊富さ、自分の伝えたいことが相手に伝わった喜びが意欲に繋がることは、どの言語学習にも共通していると思うからです。
子ども達が新しい言語を学習する時に、「相手の伝えたいことが分かる!」「言語以外にも伝える方法は沢山あるんだ!」「伝わった!嬉しい!もっと伝えたい!」と感じることのできるような授業がしたいと思いました。
そう考えることができたのは、今回のボランティアで私自身が「伝わった!嬉しい!もっと伝えたい!」という、コミュニケーションのための言語学習において、大切な基礎的な経験をすることができたからだと思います。このような経験ができたことは、本当に貴重だと感じています。これからも手話の勉強を続けると共に、そこで得られる経験を外国語の授業づくりにも生かしていきたいと感じています。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。