重度障害児・者におけるウェアラブルデバイスを用いた心理過程測定評価法の開発と応用 2019年度~2022年度

 ウェアラブルデバイスを用いた健康管理や生活上の変化について、試験的に事例研究を行いました。肥満状態にある研究協力者がデバイスを常時身に付け、生体情報(心拍、消費カロリー、活動量)を「見える化」することでセルフモニタリングが行える環境を整えました。また、各種健康管理に関する情報を取得することで生活習慣が変化し、肥満状態を改善することができました。


本研究プロジェクトの中では、2019年度から重度の知的障害がある人にデバイスを身に着けて生活していただいております。腕時計型のデバイスに慣れておられる場合には生活上に支障はないことが確認できてきています。不安が強く、腕時計型のデバイスを身に着けられない方もおられる点は留意する必要があります。データが参照できるようになって、重度・重複障害がある人の日常的なストレス状態や睡眠の状態、睡眠の質、活動量の把握ができるようになりました。また、市販されている機材を使って、活動している様子の映像に心拍情報を追加することができ、心拍情報を参照しながら関り方を検討できるようになりました。従来と異なる優れた点は、①安価に準備できること、②ワイヤレスであるために活動を妨げないということです。


重度・重複障害がある人を対象に、蓄積されたデータを使ってストレスイベントの特定を試みました。ストレスが高い日について保護者に確認したところ、①多くの人と関わる機会がある日、②運動の時間が長い日、③体調不良、④睡眠不足がストレスの高さと関与していました。体調不良や睡眠不足は避けるべきストレスイベントであることは自明です。一方で、対人交流や運動中の本人の様子を聴取したところ、本人は笑顔で楽しんでいたということがありました。測定されたデータからは「ストレスが高い」と表示されますが、そのことを理由に活動を避けたほうが良いということではなさそうです。


重度・重複障害がある人4名を対象に、睡眠時間とストレス状態(ストレスレベル)の関係について個々に相関分析を行いました。主な検討のポイントは下の3点です。

  1. 前夜の睡眠時間が短いと日中のストレスレベルが高くなるのか?
  2. 日中のストレスレベルが高くなると興奮してその日の睡眠時間が短くなるのか?
  3. 両方が関連して悪循環になるのか?

今回の研究協力者の方は、以下の結果となりました。

  1. 前夜の睡眠時間がストレスレベルに影響 2名
  2. 日中のストレスレベルがその日の睡眠時間に影響 1名
  3. 両方が相互に関連して悪循環におちいりやすい可能性 1名

「重度・重複障害の人は〇〇」という一概にまとめる結果ではありませんが、個々の状態に応じた対応を考える必要があるという結果と受けとめています。
介入によってどのように変化が生じうるのかは、課題として残っています。


重度・重複障害がある人を対象として、心理学的なリハビリテーション(臨床動作法)に取り組んでいる


 2022年度は心理学的介入によって対象者の睡眠やストレスの状態がどのように変わり得るのか、分析をしてまいります。

本研究の取り組みに関心がある方は(特別支援学校、福祉施設、ご家族様など)、お問い合わせください。

卒業研究からの成果物

「きょうだい会」の情報

日本国内にある、障害がある人のきょうだいのための支援活動、ピアサポートグループの情報をエクセルにまとめています。

支援や場を必要としても、どこにそのような団体があるのかわからない方のためにまとめました。


発達障害の障害特性と支援に関する理解啓発用4コママンガ

イラストにすることで、生徒の実態と気持ち、支援の方法がイメージしやすくなります。


サイバー防災教育のPowerPoint教材

クイズ形式で学ぶことができる教材です。
※読み取り専用で開いて、スライドショーにして使ってください。