【知る喜び】熊本県立盲学校を見学しました【発見がたくさん!】
特別支援を学ぶ大学院生1名、学部学生2名、専攻科学生2名、教員1名で熊本県立盲学校へ見学に行きました。
今回の記事では、以下の内容について紹介していきます。
- 校内で紹介いただいた教材・支援機器
- 見学を通して得られた気づき・学び
知る・伝えるための工夫
こちらは「校長室」を示すシンボルたちです。
教材開発論の授業では、シンボルコミュニケーションについての講義があります。現在は、シンボルというと「絵カード」に結びつきやすいのですが、実際には様々な形態があります。
上の写真には校長室を表すシンボルが6種類あります。
- ひらがなの「こうちょうしつ」
- 漢字の「校長室」
- 点字の「こーちょーしつ」
- 絵が添えられた「校長室」
- 校長室内の写真
- 音で知らせる「校長室」
※熊本大学工学部公認サークル「Soleil(ソレイユ)」さん作成
児童・生徒の発達段階や障害の状態に応じて、様々な形態のシンボルから情報を受け取れるように工夫されている学校の姿勢が伝わってきます。
理療科の「生理学」の教材
理療科を担当されている先生方から、人体の構造を理解するための教材をご紹介いただきました。
視覚障害がある方が学びやすい教材の工夫として以下のポイントを知りました。
- 色の明暗などコントラストをはっきりする
- 触感を変えて分類や弁別をしやすくする
- 伝えたい内容を焦点化して具体化する
- 「全体」と「部分」を往還する触り方で理解を深める
下の写真は視覚の伝導路について触って理解するための教材です。よくよく見てみると、色と素材(触り心地)で交叉してもつながりが分かるように工夫されています。🍉→🍉につながるように工夫もされています。
こちらは心臓の模型です。
「心臓の模型自体は自作しなくても手に入るのでは?」と思われると思います。先生のご説明を聞いて納得しました。
全体像を知る必要はあるのですが、多くの要素を含む情報が入ってくると、複雑すぎて弁別やまとまりとして理解することが難しいとのこと。そのために、情報を焦点化した教材が必要で、自作されたとのことでした。
「タピオカが流行ってくれて、太いストローがたくさん手に入ってよかったです」と笑いながらお話ししてくださいました。
こちらは手の骨の配置を理解するための教材です。
色や凸凹の向きを変えて弁別、まとまりを把握できるようにしてあります。
また、骨と骨の間にはっきりとしたスペースを置くことで部分を理解しやすくなっています。
情報源と素材の仕入れ先
教材アイデアの情報交換についてご質問をしたところ、下記のサイトをご紹介いただきました。
iukiさんという方が情報発信をされていらっしゃいます。
「視覚障害教育×ハンドメイド」
今までこの2つの要素を結び付けて考えたことがなかったのでとても感動しました。良心的かつ希少価値の高い情報を発信されている方に出会えてうれしく思います!
オリジナル教材の素材の多くは100均で調達されていらっしゃいました。一緒に見学した学生さんも、きっと自作教材の素材集めをするときには100均やホームセンターに行くことと思います。
上の写真の教材は、デジタルデータで広く配布することができません。ひとつひとつが手作りの貴重な教材です。
その他に見せていただいた教材
見学を通して得られた気づき・学び
今回の盲学校見学を通して、視覚障害がある人への教育について触れることができました。実際に係わってみないことにはその奥行きはわからないと思いますが、今のところでの気づき・学びを簡潔に記録しておきたいと思います。
- 音や振動をシンボルにした教材・支援機器は有効
- スイッチオンで音が鳴ったり、振動したりする物が作れると応用が利く
- 教材を作る時は、伝えたいことを明確にして要素を限定する
- 教材づくりのプロセスでは、触りながら触覚のゲシュタルトを体験する
- 現場に行くと熱い想いが伝わってきて影響を受ける
見学に行って以降、たびたび盲学校のHPを開くようになりました。
また、電子工作やモノづくりへの関心も高まりました。
関心と学びのモチベーションを高める機会をいただきましたことに感謝申し上げます。
ありがとうございました!