知的障害特別支援学校を想定した 体験的・対話的なサイバー防災教育の教材開発

こちらは、2020年度の卒業論文の成果物です。防災教育に強い思い入れがある羽矢なのはさんが、現代社会の災難としてサイバー空間に着目しました。
「身近にひそむリスクを知って、回避する」ことがテーマの教材です。

 この教材は、ショートメッセージに届く運輸会社の不在届を模した詐欺メールに関して学ぶためのものです。実際のメールの画面を提示し、学習者の思うように操作させる体験型の教材です。操作していく中で、クリックする場所によって表示される画面は異なるため、より体験的に詐欺メールについて知ることができ、その中で詐欺メールであると見極めるポイントや注目すべき点、また実際に手元に届いた場合にどのような対応をとるべきかどうかについて学ぶことをねらいとしています。

 この教材は、LINEに届くヤマト運輸からのメッセージ、およびLINEの公式マークについて学ぶためのものです。画面に表示される画像の中から、正しいものを選択するクイズ形式の教材です。ヤマト運輸の公式アカウントから届くLINEについては、二つの画面を見比べ正しいものを選ぶ二択の問題となっており、ここではLINEの公式マークの存在について気付かせることをねらいとしています。また、LINEの公式マークを選ぶ三択問題では、マークの色に着目し、それぞれがどのような意味を持つのかについて知ることをねらいとしています。

 この教材は、ショートメッセージに届く詐欺メールのURLをクリックした場合、どのような流れで個人情報が盗まれていくのか、また、詐欺サイトにはどのような特徴があるのかについて学ぶためのものです。間違え探し形式で、詐欺サイト内の誤字を探すことで、詐欺サイトでは誤字や誤った日本語が使われていることが多々ある、ということに気付くことをねらいとしています。本物のウェブサイトに似た画面が存在する場合については、本物のウェブサイトの画像と詐欺サイトとを並べて提示することで、誤字等の違いにより気付きやすいようにしています。

 この教材は、LINEなどのメッセージアプリを使いやりとりをしていく上で、知っておくべきマナーについて学ぶためのものです。二択のクイズ形式の教材であり、先輩や大人への言葉使い、また、メッセージを送るタイミング及び時間帯についてのマナーについて学ぶことをねらいとしています。

 この教材は、友人からメッセージが届いたことを想定し、選択肢の中から返信を選び、やりとりをしていく中で、話し方や絵文字の有無による印象の違いについて気付かせるものです。3~4人のロールプレイング形式で行い、1人が教材を使い実践、残りの2人(3人)はメッセージのやりとりの様子を見ます。その後、実践者視点で発言を選択する際に意識したこと、それを見ていた残りの2人(3人)はメッセージのやりとりの様子を見てどのような印象を持ったか、それぞれの視点からメッセージの絵文字の有無の違いが印象にどのような違いをもたらすのか、について話し合わせます。メッセージアプリを使いやりとりをしていくうえで、絵文字を使い感情を表すことの重要性について気付かせることをねらいとしています。

この教材は「5.LINEトーク①」で学んだことを参考に、トークの続きを各々で進めていくものです。学習者はロールプレイングで学んだ「絵文字の重要性」を意識しながら実践することを前提に選択肢を選ぶため、やりとりをしていく中で、電話番号や認証番号を求められた際にどのような対応をするかが試されます。この教材では、やりとりをしている相手のアカウントは乗っ取り被害にあっているものとし、「5.LINEトーク①」で使用している絵文字とは異なり、顔文字を使用することで変化を持たせています。この教材を通し、友人のアカウントであっても乗っ取られている可能性があること、また認証番号は絶対に他人に教えてはいけないこと、について学ぶことをねらいとしています。

 この教材は、知らない人からのメッセージにどのように対応すべきかについて選択形式・体験形式で学ぶためのものです。LINEなどのトークアプリでは、電話番号で自動追加され、まるで知り合いかのような口ぶりでメッセージが届くことがあります。二択の選択問題を通し、このような知らない人からのメッセージが届いた場合に、どのような対応をとるべきかを学ぶことをねらいとしています。また、知らない人からのメールについては、有名芸能人を名乗った、URLへの誘導のある文面のメールを使い、学習者の思うように操作させる中で、実際に手元に届いた場合にどのような対応をとるべきかについて学ぶことをねらいとしています。

 この教材は、パスワードを設定する上で注意すべきことについて選択問題形式で学ぶためのものです。パスワードを設定する際に使わないほうがよいとされるキーワードや、どのような文字列にすると安全性が高まるか、について学ぶことをねらいとしています。また、パスワードを使いまわすことでどのような影響があるのか、仮にパスワードが他人に知られてしまった場合にどのような危険があるのか、知ることもねらいとしています。

 この教材は、ソーシャルネットワーキングサービスを使っていくうえでの注意点について、クイズ形式で学ぶことができる教材です。ソーシャルネットワーキングサービスを使う上での個人情報の扱い方や、ネット上の友人との付き合い方などについて学ぶことをねらいとしています。個人情報の扱い方については、ソーシャルネットワーキングサービス上に投稿すべきでない内容について学ぶことができます。また、ネット上の友人との付き合い方については、個人情報を教えてはならないこと、実際に会ってはならないことについて学ぶことができますが、ネット上の友人を作ること自体は決して悪いことではないため、注意しながらソーシャルネットワーキングサービスを利用するように促しています。

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