週刊本吉研究室㉛『サポートサークルについて』

早くも二月の到来ですね。今年は熊本でも雪が降る日が多く、日々冬の寒さを感じています。皆様はいかがお過ごしでしょうか。


突然ですが皆さんは、誰とも被らない、自分が一番だと胸を張れるほどの長所をもっていますか?                                       私はまだそのような長所は見つけられていません。ただ、誰とも被らない経験をしてきた自負はあります。

それは、学生サポートサークルでの経験です。

私は卒業研究にて、学生サポートサークルについての課題を取り上げましたが、サークルでの経験は何にも代えがたい、それこそ熊大の同級生の中では唯一私だけが経験できたことが詰まっています。                  今回の記事では、その学生サポートサークルの素敵なところを紹介したいと思います。

~ノートテイク・パソコンテイク~

発足当初は手書きのノートテイクによる支援が、翌年からはPCテイク(パソコンテイク)による支援が行われました。                  皆さんもサポートサークルの活動を目にしたことがあるかもしれません。入学式で、ステージ右手のスクリーン字幕をご覧になっていた方はいらっしゃいませんか?                               あれはサポートサークルが流しているものです。私自身も入学式では終始スクリーン字幕を眺めていましたので、サポートサークルの先輩がそれを打ち込んでいたことを知り、親近感も興味も湧きました。

パソコンテイクは奥が深いです。少し紹介させてください。

パソコンテイクはパソコンで行える情報保障支援で、様々なツールが開発されています。                                入学式など本学での支援で主に使用されるIPtalk、機能はIPtalkとほぼ同じだがオンライン接続が可能なCapti0nline、話者の音声を聴き取り直接利用者の手元の端末に文字起こしするUDtalkなどがあります。

昨今、UDtalk、というアプリケーションを活用することで、支援者が最小限で済むようになってきています。とはいえ、支援利用者と機器の相性や、話者と機器の相性もありますので、支援者が介入することでより正確な情報を伝えられる場合もあります。また、支援利用者や状況に合わせて、オンライン接続ができる支援アプリケーションを選択したり、手書きにしたりという支援方法の選択肢を増やすことも重要です。機械と協力したり支援方法を判断したりする役割としての人間の存在価値もある程度あるのでは、と私個人は考えております。

また、情報保障は、聴覚障害に対する支援となるだけでなく、知的障害や発達障害、音声情報だけでは理解しにくい特性のある方にとっても役立ちます。そうでなくても、ただ聞くより文字があったほうが分かりやすい方は多いと思います。字幕を打ち込む学生は皆、「誰かの役に立っているといいな」、「少しでも読みやすい字幕を作りたいな」、と思いながら活動しています。卒業式ではぜひスクリーン字幕にもご注目いただけますと幸いです。

また、ノートテイクは、大学の支援では行ったことがありませんでしたが、要約筆記や速記についての講習会を受けたことがありました。その時の内容は小学校でのボランティアで活かすことができました。情報保障なので、ノートを完成させるのとはまた違う目的ですし、小学生に伝わる文字量や漢字の使い方なども合わせて配慮する必要がありますが、ベースの知識があったことで緊張することなく支援ができました。

こちらは要約筆記者養成講座で受講できる内容です。例年、三月上旬に開講されますので興味のある方はぜひご参加ください。そちらでノートテイクやパソコンテイクに興味をもってくださった方は学生サポートサークルでぜひ活動していただきたいです。

私はこの活動をしてタイピング速度があがりました。正確には、タイピング速度を上げる練習方法や文字を正確に入力しようという意識を得られました。これは大学生活で大いに活躍したスキルです。逆に言えば日頃からパソコンを頻繁に使用しているとタイピングスキルも上達しますしパソコンテイクにも活かせます。自分の役にも人の役にも立つスキルを、大学在学中に身に付けられる機会になるかもしれません。

~手話~

先述のノートテイカーサークルに、教育学部で活動していた手話サークルを合併し、手話部門が開設されました。それと同時に名称が「学生サポートサークル」になりました。

私自身もそうですが、手話を入り口にしてサポートサークルに興味をもってくださる方が多い印象です。

私は、高校生の時から手話を学びたいと思っていました。大学1年生の新歓の時期に、「手話ができる」という紹介を聞きつけて体験に行った先がサポートサークルだったわけです。

最初は指文字かるたをして、「この約50音を一文字ずつ覚えたら手話できるじゃん。」と思ったのは遠い過去のことです...。実際はそんなことはありません。(指文字でも伝わりはしますし、筆談などの手段もとれますのでコミュニケーションはできると思います。)手話は言語として確立されているので、アルファベットも、数字も、単語も、文法も、略語も、方言もあります。手話にも新しい単語が登場したり、若者言葉があったりするので何年かけても極められないな、と思います。それに手先の動きだけでなく、表情や頷き、肩の動きなども会話において重要なのです。

正直、聞けば聞くほど難しそうですよね。でも私は手話を始めてから、日本語のコミュニケーションでも身振りが増えたり表情が豊かになったりした気がしています。それに、聾者と一対一で話せるようになったり、聾学校の子どもと話せたりして世界の広がりを感じられました。今は手話を始めたことで広がった世界もとても好きです。

♡手話に興味をもってくださった方へ♡ 

サポートサークル手話部門は現在、形を変え活動しています。昨年度に独立し、熊本大学手話サークル“しゅまいる”という愛称で活動を始めました。学内外の学生も社会人の方も、どなたでも参加できるようになりました。皆、温かい雰囲気の中で手話技術がメキメキ上達し、同時にろう文化・手話文化についても学んでいます。

Instagramのアカウントを掲載しておきますので、そちらも覗いてみてくださいね。

~バリアフリーマップ~ (部門開設背景は存じておりませんので省略します。)

バリアフリーマップとは、簡単に言うと、バリアフリー情報が記載された地図のことです。熊本大学のバリアフリーマップはオンライン上で閲覧できます。

キャンパス内の建物ごと、フロアごとに以下の情報を確認することができます。

  • 御手洗いの位置と機能
  • 多目的トイレの位置と機能(オストメイト、ベビーベッドなど)    (オストメイトとは?という方に視聴していただきたい動画のリンクも貼付しておきますのでご覧ください。)
  • AEDの位置
  • エレベーターの位置
  • スロープの位置
  • 昇降機の位置

これらの位置や多目的トイレの機能を把握するためにキャンパス内を探検します。

探検してみて初めて車いすユーザーの視点を考えることができたり、見直すべき箇所が見えてきたりします。

実は、広めに設計されている御手洗いでも、車いすで利用することを想定したとき、幅はクリアできるが回転できるスペースはなかったり手すりの位置が適当ではなかったりするのです。

ただ多目的トイレがあることを示すだけでなく、車いすユーザーの方が安心して利用できるかどうかを誠実にマップに起こしていきたいと思って活動していました。また、スロープやエレベーターの場所などから、どの御手洗いが一番使いやすい位置にあるか考える、などの視点も得ました。

また、車いすユーザーでなくても共感していただけると思うのですが、キャンパス内で工事が行われると、通行止めになる道ができたり、自転車で通るのにこけそうになる道ができたりしますよね。そのような道を通るとき、車いすユーザーや久しぶりにキャンパス内に足を踏み入れる方は困りそうだな、と思いを馳せるようにもなりました。

♡サークルに興味を持ってくださった方へ♡

まずは全学教育棟教務の一番奥、学生支援室を覗いてみてください。

きっとどなたもあたたかく迎えてくださると思います。

サポートサークルの活動日は、メンバーが揃う日に設定していく方針となっているため、活動日をお伝えすることが難しいですが、支援室の方が活動日を教えてくださると思います。

今後は、聴覚障害以外の学生にも支援できるような支援方法の広がりや、対象を障害学生だけでなく学生全体にする広がりなどの可能性もあります。学生としての小さな一意見が重要になり、誰でも活躍できる場になるのでは、と期待しています。

Twitterも開設しておりますので、「DM」でご連絡いただけますと対応いたします。

【参考】学生支援室HP  サポートしたい学生の方へ | 熊本大学 学生支援室 (kumamoto-u.ac.jp) ※現在の内容とは異なる部分があります。
バリアフリーマップ バリアフリーマップ | 熊本大学 学生支援室 (kumamoto-u.ac.jp)
オストメイトについて 人工肛門になってもバレエもサーフィンも 自分の意思で排泄できない「オストメイト」の日常 「理解してほしいけれど、知ってほしくない」複雑な気持ち – YouTube
学生サポートサークルTwitter:@kumadai_ssc
熊本大学手話サークル手笑顔(しゅまいる) Instagram:kumadai_shumile

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