知的障害児を対象とする時間の概念理解を目的とした教材「合図カード」「ぴたっとくん」

(1)児童の実態
•軽度~中度の知的障害である小学部2段階
•提示した数は3以上数えることができない
•挨拶やチャイムなどの環境的な刺激で「始め」と「終わり」が認識できない
•終わりの時間になっても作業を終えることができない

(2)学習指導要領による位置づけ①
ア日常生活の指導
日常生活の指導は,児童生徒の日常生活が充実し,高まるように日常生活の諸活動について,知的障害の状態,生活年齢,学習状況や経験等を踏まえながら計画的に指導するものである。日常生活の指導は,生活科を中心として,特別活動の〔学級活動〕など広範囲に,各教科等の内容が扱われる。それらは,例えば,衣服の着脱,洗面,手洗い,排泄,食事,清潔など基本的生活習慣の内容や,あいさつ,言葉遣い,礼儀作法,時間を守ること,きまりを守ることなどの日常生活や社会生活において,習慣的に繰り返される,必要で基本的な内容である。
(2)学習指導要領による位置づけ②
•自立活動
4環境の把握
(5)認知や行動の手掛かりとなる概念の形成に関すること。
ものの機能や属性,形,色,音が変化する様子,空間・時間等の概念の形成を図ることによって,それを認知や行動の手掛かりとして活用できるようにすることを意味している。概念を形成する過程で,必要な視覚情報に注目することが難しかったり,読み取りや理解に時間がかかったりすることがある。そこで,興味・関心のあることや生活上の場面を取り上げ,実物や写真などを使って見たり読んだり,理解したりすることで,確実に概念の形成につなげていくよう指導することが大切である。

(3)指導目標
•「始め」と「終わり」がどういうときなのか理解することができる
•遊びを行うなかで作業を始めることと終わることができる

(4)開発した教材
•合図カード

•ぴたっとくん

(5)教材の準備の仕方
〇合図カード
•2枚のA4の紙にそれぞれ「はじめます」、「おわります」と両手の形を書く
•1枚は青だけで書き、もう1枚は赤だけで書く
〇ぴたっとくん
•机の上における大きさのアナログ時計を準備する
•時計の1秒間隔の太さの赤と青のふせんを貼る→太いと長針が指しているのかどうか曖昧になってしまう

(6)教材の使い方①
ステップ1
①合図カードで始める時と終わる時に両手をカードの上に置くことを確認する
②「はじめます」、「おわります」と声に出しながら両手を置くことを合図カードでそれぞれ3回ずつ練習する
③ぴたっとくんについている青の付せんが始まりで赤の付せんが終わりということを確認する
④ぴたっとくんの長針が青の付せんのところに来たら「はじめます」と言いながらカードに両手を置き、赤の付せんのところに来たら「おわります」と言いながらカードに両手を置く
・長針は教師が手動で動かす⑤④を付せんの位置を変えながら5回繰り返す
ステップ2
①遊び(つみき、ぬりえ、ブロックなど)を提示して始める時間になったらするよう伝える
②ぴたっとくんでどこから始まりどこで終わるのか付せんを確認する
③始めの時間になったら合図カードのはじめますの方を児童に渡す
④終わる時間の1分前になったらもうすぐ終わりの時間であることを児童に伝える
⑤終わりの時間になったら合図カードのおわりますの方を児童に渡す
⑥①から⑤を繰り返す
・最初は5分ほどの短い時間で始めて徐々に時間を伸ばしていく

(7)評価基準
〇ステップ1長針が青の付せんに来たら始め、赤の付せんに来たら終わることができる
〇ステップ2遊びを行うなかで終わりの時間になったら作業をやめることができる

(8)工夫した点
•合図カードとぴたっとくんで始めの色と終わりの色を統一したこと→視覚的に区別しやすい
•ぴたっとくんを時計と見た目をほぼ変えずにそのまま活用したこと→日常生活で見るものだから実生活で生かしやすい
•繰り返すことを多く取り入れたこと→定着につなげることができる

(9)改善点
•合図カードを立ちながら活用することが難しい→足あとを書いて両足をのせるなど立っているとき用のカードを作る
•時計の針が3本ありどれに注目すべきかわかりづらい→取り外せる時計を用いて長針に色を付けるなどわかりやすくする

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