知的障害児を対象とした電話を用いてのコミュニケーション支援

1 対象児童
・中学部2段階から高等部1段階にかけて
・電話やSNS等の顔が見えないコミュニケーションが苦手
・人に応じた会話が苦手

2 学習指導要領における位置付け
・国語科
〔思考力,判断力,表現力等〕
A 聞くこと・話すこと聞くこと・話すことに関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
エ 自己紹介や電話の受け答えなど,相手や目的に応じた話し方で話すこと。
オ 相手の話に関心をもち,分かったことや感じたことを伝え合い,考えをもつこと。
→エ は,自己紹介といった改まった場面で話す際や,電話を通して目前にいない相手に対して話す際に,丁寧な言葉を使うなど,話す相手や場面に応じた言葉遣いを考えて話すことを示している。
→オ は,相手の話の内容や話し方などについて興味や関心をもって聞き、話の大体の内容を整理したりまとめたりして分かったことや感じたことを伝え合い伝え合ったことを通して、自分の考えや感想をもつことを示している。
文部科学省特別支援学校学習指導要領解説各教科等編(小学部・中学部)

3指導目標
◎電話の奥に人がいることを想像することができるようになる
◎相手の質問に応じた正しい答えを出せるようになる
◎交互に質問返答をすることができるようになる

4評価基準
◎相手に応じて言葉を選ぶことができる
◎相手からの質問を正しく理解し、答えることができる
◎電話の流れを理解し、教師の補助なしで通話をすることができる

教材① 質問カード

教材② 通話の流れシート

教材の利用方法
◎生徒は質問カードから3つの質問を選ぶ
◎選んだ質問カードを通話の流れシートに並べる
◎実際に通話をするときは、その流れシートに合わせて交互に質問、返答を行う
◎質問カードの中に一つだけオリジナル質問カードを作成する

指導の前に・・・
◎あらかじめ、教師同士でデモンストレーションを行い大まかな流れを理解してもらう
◎電話は教師の携帯電話を用いて、相手へ電話をかけ、その電話を取るところから始める。

指導様子(Level1)
まずは、生徒と教師が電話を用いて会話する。
初めは、T1と生徒が向かい合い、顔が見える状態で電話越しに話す
T2は児童の側に待機し、通話の支援を行う

指導様子(Level2)
次に、生徒同士で通話を行う
まだ顔はお互いに見える状態で先程と同様通話を行う
T1、T2は両生徒の側について通話の支援を行う

指導様子(Level3)
最後に、生徒同士で顔が見えない状態で通話を行う
お互いが別の教室にいる状態で通話を行なう
T1、T2はそれぞれの生徒のそばで通話の支援を行う

5工夫した点・改善点
工夫した点
・段階を設けて生徒の到達度に合わせて、指導ができるという点
・質問カードをオリジナルで作成する事によってそれぞれの個性が現れる。

改善点
・質問項目が限られており、限定された場面にしか対応できないという点。

6今後の展開
・質問カードや通話の流れシート等の支援を次第に減らしていく
・もっと実践的な会話も取り入れる

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