知的障害のある子どものはさみの使い方の指導を目的とした教材~紙の持ち方~

①対象児童の実態対象児童の実態
・軽度の知的障害を持つ小学3年生の女子を想定
・ハサミを使うことに抵抗を感じていない
・集中すると切るべき部分からずれたり紙をもつ手を切ってしまうことがある
→今回「七夕飾りをつくろう」という授業を設定し課題克服のための教材を作成した。

②学習指導要領における位置づけ
自立活動
5 身体の動き
(3)日常生活に必要な基本動作に関すること
→食事、排せつ、衣服の着脱、洗面、入浴などの身辺処理及び書字、描画等の学習のための基本動作を身に付けることができるようにすることを意味している。
知的障害のある幼児児童生徒の場合,知的発達の程度等に比較して、衣服の着脱におけるボタンの着脱やのはさみなどの道具の操作などが難しいことがある。
特別支援学校教育要領・学習指導要領解説自立活動編(幼稚部・小学部・中

③指導目標
⚫紙をもつ左手を切らないように意識してはさみを使うことができる
⚫様々な形をはさみを使って切ることができる

④評価基準
⚫紙をもつ左手を切らないように意識してはさみを使うことができる
 ◎教師の支援なしで、左手を意識して切らずにはさみを使うことができる。
 〇教師の支援があるが、左手を意識しようとしている。
⚫様々な形をはさみを使って切ることができる
 ◎線からはみ出さずに様々な形を切ることができる。
 〇線からはみ出しているが、線を意識して切ろうとしている。

⑤開発した教材

⑥教材の準備の仕方
教材① かみの持ち方
 ・正しい持ち方の写真と間違った持ち方の写真を用意する
 ・注目してほしいところに印をつける
教材② かみのもち方名人カード
 ・正しい持ち方の写真を上部に示す
 ・注意してほしいところに印をつける・チェックリストを作る
教材③ 透明折り紙
 ・紙の裏側の手の様子が見えるように透明折り紙を使用する
 ・一回切り、直線切り、曲線切りの課題を用意する
 ・一回切りの線の長さはははさみ刃の長さとおなじにする

⑦教材の使い方
教材① かみの持ち方
1.正しい持ち方と間違った持ち方の写真を児童の前に掲示する。
2.正しい持ち方を説明する。

教材② かみのもち方名人カード
1.作業に入る前にとなえて確認する。
2.作業後振り返りに使用する。
※カードについては作業中に確認できるように机上に置いておく

教材③ 透明折り紙
線に沿ってはさみで切る。
※一回切り、直線切り、曲線切りの順で使用し、少しずつ課題を難しくする。
※一回切りは提灯、直線切りは輪飾り、曲線切りはつるし飾りになる

⑧工夫した点・改善点
工夫した点
・スモールステップの課題設定を考えた。
・作業ではなく楽しみながら課題の克服ができると考え、「七夕飾りをつくろう」という授業を設定した。
・目標達成がしやすくなるように切る線を太くした
改善点
・透明折り紙の線の間隔が狭くきりにくい可能性がある
→線間隔をひろくする(書く本数を減らす)
・透明にしたことで左手は見えやすくなったが背景に溶け込み目印の線が見えにくくなった。
→下に白い画用紙を引くなどして、線を見やすくする

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